ノルウェイの森 再考〜直子の接近欲求は何由来
ノルウェイの森 再考
こんにちは!ゆうきです。
今日は「100パーセントの恋愛小説」というキャッチコピーの村上春樹さんの『ノルウェイの森』について、最近気がついたことを、話してみたいと思います。
ゆうき的結論︰
『ノルウェイの森』は、喪失と再生を描いた青春小説である。
恋愛小説であるはずが無い。
考察点︰
直子とワタナベが手を繋ぎ、草原を歩くシーンで「誰かが誰かをずっと永遠に守りつづけるなんて、そんなこと不可能」と直子が言う。
これは、2人の純愛について描かれているのだと思っていましたが、最近になって、直子の病気の話なのだと気が付きました。
直子は、ずっと自分を見守ってくれる人がいないと不安で仕方がなく、それはオーバーな話ではなく、直子は、そういう人なのだ。
直子は、キズキと一心同体で暮らしてきた為に、元々病んでいたのだけど、それが表面化していなかったのかも知れない。
ワタナベと直子の関係は、恋愛ではない。
恋の熱は、男女を密接な関係にさせるのだが、それでは無く、医者(もしくはカウンセラー)と患者の関係に近い気がする。
直子の他者への接近欲求は、精神病そのもののせいだったのでは無いか。
ワタナベを愛してさえないのに、近づき過ぎる直子と、それを許容してしまうワタナベ。
直子とワタナベは、お互いを消費(利用)する事で、自身を癒やそうと試みていたのかも知れない。
ただ、それは恋愛では無いので、長期的な関係はもともとあり得なかったのであろう。